Vol. 9 再開(2002/07/10)


トラクターのレストア作業、なんと1年もホームページの更新が停滞してしまいました。やっと作業の再開です。更新が止まっている間に色々な情報や励ましのメールを下さった皆様、大変ありがとうございました。今後、このホームページで順次ご紹介させて頂きたいと思います。


レストア作業の計画を以下のように組んでみました。

1. まずは現状にてエンジンを始動して実走行をしてみる。
これは機関の不具合を把握してレストアを進める上で、どこまで分解して補修しなければならないのかを決定します。エンジンを始動し、実際に走行してエンジン・ミッションの調子が悪くなければエンジン部の分解までは行いません。まあ、塗装をする上での最低限の分解やオイル漏れの対策による分解に止めたいと考えてます。
2. 分解
乗用車の場合、車体はボディーとエンジンに分かれるのですが、トラクターはエンジンにタイヤと運転席が付いたような物。順番に部品を外して行くと全部がバラバラになり、部品の山ができてしまいます。そこで作業スペースの関係上、トラクターの前部と後部に行程を分けて作業を進めることにします。
3. 塗装
塗装はオリジナルに近い色で行う。塗装はプロとアマチュアの差がでる作業ですが、乗用車と違い、農機具は新車時からクオリティーはさほど高くありません。そこで塗装も私が行うことにしますが、塗料は2液性のウレタンを使用する予定です。後は剥がれたメッキは業者に依頼して再メッキをかけることにします。
4. その他
タイヤは4本ともヒビだらけ、現状での再使用は不可能な状態です。これを新調するか検討中ですが、価格が気になります。


それでは、いよいよエンジンの始動をしてみます。機械の整備やメカニズムが好きな人間にとって、自分が手入れをしたエンジンが回り出す瞬間は特別なものです。それが30数年前の古いものと来ればまた格別です。でも、ここは焦らず冷静に事を進めることが大切です。長い間始動してないエンジンは、オイルが落ちきってしまっている為、回転直後にダメージを受けてしまうこともあると言われます。これを防ぐためには回転部のあらゆる場所へ予め潤滑油を吹き付けて置くべきだといわれます。(農機具の様な極低回転のOHVエンジンではさほど神経質になる必要もないみたいですが)
前回までに始動に向けての整備は一通り終了していますが、新しいエンジンオイルと燃料を入れ、可動部には可能な限りモリブデン入りのオイルを吹きつけ、クランクも手を使ってゆっくりと回転させて置きます。いよいよ準備は整った・・・!

バッテリーを載せ、メインスイッチをカチッと一段回します。ハンドスロットルを全開にして、スターターノブを引っ張るとグロープラグで予熱が始まります。インジケーターのニクロム線が赤く焼けた頃を見計らって今度はノブを押し込みます。フル充電のバッテリーながら、超ヘビーなフライホイールの為、ゆっくりとクランキングが始まり、次第に回転数を増して行きます。すると、マフラーから真っ黒な煙を吐き出し、シリンダー内に噴射された軽油が高温により燃焼を始めているのが判ります。10秒ほどでノブを戻しスターターの回転を止めます。惰性で暫く回りはしましたが、回転数は上がらずに停止してしまいました。
2回目、もう一度グロープラグの予熱をして、再度セルモーターを回します。徐々に温まったシリンダーからは先程より更に黒煙を吐き、次第に回転速度が上がるのが判ります。「カン!カン!カン!・・・!」金づちで鉄の塊を打ち付けた様な勇ましい音と共に、長い眠りから、今、目覚めました。暫くの間、異音がしないか耳を澄まして観察します。(左の画像は始動時のマフラーからの黒煙を撮影したのですが、ちょっと判りづらいですね)
ちょっと、ディーゼルエンジンのお勉強
ディーゼルエンジンの場合、電気的な点火装置は必要とせず、シリンダー内に吸入した空気を25〜35kg/平方pに高圧縮すると、空気の温度は圧縮熱により約500℃に達します。このとき燃料の軽油(灯油やA重油の場合もあり)を300〜600kg/平方pの高圧で霧状に噴射すると爆発燃焼が起きます。このように高圧縮に耐えるようにシリンダー・ピストン・コンロッドなど大変丈夫な部品を必要とする為、重量は重く低回転向きのエンジンとなります。
暖気運転をしてオイルが温まってしまえば800rpmでアイドリングも安定しています。アクセルを踏み込めば力強く回転が上昇して高回転域でも問題ありません。続いて走行テストをしてみます。ヒビだらけのタイヤにはバーストしない程度に最低限のエアーを入れて置きました。主変速・副変速、共にギヤー抜けも無く、走行にも問題はありません。ハブのガタ付きやブレーキなど今後の要整備箇所は何点かありますが、エンジン・ミッションがしっかりしていれば全然問題ではありません。今回は取り合えず、確認の意味でエンジン始動とテスト走行を行いましたが、詳しいインプレや機能についてはレストアが完成した後に報告します。

久しぶりにホームページを更新しました。実は、このテスト走行はかなり以前に行ったものでした。今後の作業として、まずは分解に入ります。機能的には問題無いことが確認できたので、すべてをバラバラに分解するのでは無く、必要最低限にとどめるのが適切と思います。では、次回は分解報告です。

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